たった一人の生存者
闇が広がる。

誰もいない。

一人ぼっち。

此処は何処?

闇が広がる。

闇に喰われ。

闇に蝕まれ。

此処にはきっと名前等ないだろう。

これが「死」なのだろうか?

あっ…。

声が聞こえた。

でも動けない。

もうどうでもいい気がする。

このまま闇に溶けて消滅しようか。

「幸平!!」

懐かしい。

優しい母の声がする。

「幸平!!」

大切な友の声がする。

「幸平!!」

堅実な父の声がする。

だが、動けない。光は見えない。

ただ闇が広がる。
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