執事の名のもとに
「申し訳ないですが、もうすでに誘われてますの。」
えっ?……。
美優の言葉が頭の中でこだまする。
「そうですよね、すみませんでした。」
その男は走るようにいなくなった。
「晴馬、どうかしたの?」
ぼーと立っていたせいか俺の顔を見てくる。
「いや、平気。あのさぁ…。」
「うん?」
確かめなきゃ分かんないだろ?俺。
心の中で自分に言い聞かせる。
「誘われてるのに、俺といていいのか?」
そう言うと美優の顔が一瞬曇った。