執事の名のもとに
「お母さん!」
俺は母さんが、元気な時は愛琉と変わらず女の子だった。
お人形もぬいぐるみも大好きだった。
でも俺も愛琉も知らなかったんだ。俺等が知らないところで母さんは苦しんでいたことに……。
それを先に気付いたのは俺だった。
学校で具合が悪くなって家に連絡することなく、ひとりで帰ってきた時だった。
こっそり玄関に入るとまだ午前中だったからかお弟子さんも居なくて珍しく家はしーんっとしていた。
でも母さんや父さんはいると分かっていたから分からないように部屋に向かった。
でもそれがいけなかったのかもしれない。