銀鏡神話‐翡翠の羽根‐

*キャルナスの試練

『貴方、私はもう彼の子についていけません。

あんな危険な子、私の子じゃないもの。』

『落ち着きなさい、サリア!

キャルナスを、海峡の軍勢に引き取ってもらおう。』

海峡の軍勢は魔界の王家直属の軍隊。

其処にボクが引き取られる?

『キャルナス、わかってくれ。

お前がいると母さんがおかしくなってしまうんだ。』

僕が居ると、ママがおかしくなってしまう?

嫌だ、だったら僕は何処にだって行くよ。

『さぁ、ここに入れ。』

連れていかれたのは魔界の外れにある、岬。

岬の深部にある牢に容れられた。

其の日から、長い間其処に居た。

僕が此処に居るのはしょうがないと言い聞かせた。

でも全くママとパパが迎えに来ないから、兵士さんに聞いてみたんだ。

そしたらね、

『お前は危険なんだよ。』

危険?






「私は何故あの様な事をしてしまったんでしょう。」

過去の私を見ると、凄い情けなくなる。

一時的な感情に促されて、海峡の軍勢の兵士を皆殺めてしまった。

「……私の試練、其れは死神としての任務。

海峡の軍勢の兵を死界へと送る。」

まだ此処には彼の頃の海峡の軍勢の兵達の霊魂がさ迷っている。

死神……

千以上の人を殺めた者が命じられる階級。

百の人を殺すと、どんな生き物も悪魔になる。

死神は悪魔の最上級階級。

死神に死は許されない。

死神になったらば最後、不老不死で此の世を歩み続けることになる。

私はつい五年前、死神になった。

まだ全然新人、いや新死神です。

“あぁあ゛ぁあ゛ぁあぁぁぁぁぁぁ゛”

沢山の霊魂が私を取り囲む。

「導きの真間に。

歪めよラアスト・ブレイク」

死界への扉を開ける。

吸い込まれていく霊魂たち。

“あ゛あぁ゛あぁあぁ゛ぁぁ゛ぁぁぁ”

!? 一体の霊魂が死界への扉を破壊する。

「……っ!」

記憶の世界が崩壊を始める。

押しつぶされる。

『キャルナス様!!』

! めちるの声が聞こえた。

ふと見ると、記憶の狭間ができている。

私は急いで其処に駆け込んだ。
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