銀鏡神話‐翡翠の羽根‐

*美紗の試練

ミ……マ……

誰が私を呼ぶのだろう。

……サヒ……マ

時々見る夢で、私を呼ぶあなたは……?

「ミサ姫様」

誰……?






「白江殿?」

あ……

曼陀羅の声で正気に戻った。

記憶の世界にきてから、自分を探していたがさっぱり見つからない。

しょうがないから世臨公園のベンチに座って、一休みしていた。

そしたらなんか意識が飛んで……

「よしっ、探すか!」

気を取り直して立ち上がった。

其の時……

「キャァァアア!」

けたたましい悲鳴が公園中に響き渡る。

きっと私だ!!

公園の奥へと走る。

「こんな所が……」

小さい頃、お父さんとお母さんと一回だけ公園の奥まで来た事があった。

其処には立ち入り禁止現場があって、せっかく奥まで来たのにね、とガッカリしたのをよく覚えてる。

此処があの時の立ち入り禁止現場。

「城……」

欧州の古城の様な城が其処には確かに立っていた。

蔦が絡まっていて、本来白い筈の壁は染みだらけ。

門は今でも崩れ出しそうで。

「入るか……」

私は門を潜り、城への扉を開けた。

「ミサ姫様!!」

城に入ると、其処は螺旋階段が並ぶ玄関。

赤い絨毯。

金のペルシャ猫の置物。

青白い光で城を照らすランプ。

何故か懐かしいそこに浸っていると、夢によく出てくる彼の人が。

「貴方はだ……」

「さぁ行きましょう姫!!

貴女の欠片様が……」

欠片?

ミサ姫様って……?

私は白江 美紗……

普通の女子中学生だよ?

「だ、誰なの……?」

「ミサ姫様!私を忘れるなんて……

金太・アイザックですよ!」

キンタ……

金色の髪に黒い瞳、ハーフなんだ。

騎士みたいな格好をしていて、大刀を背に構えてる。

誰だろう、誰かに似てるんだ……

思い出せない。

「ギシャァァアア!!」

「!!ミサ姫様、お下がりください。」

螺旋階段を登っていたら、ゾンビみたいな化け物が。

腐敗した肉体が私の肩を掴もうとしてきたのを、金太が大刀を振り上げ、ゾンビの腕を切り裂いた。
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