銀鏡神話‐翡翠の羽根‐
「違うよ。彼女はちゃんと家に帰したよ。

自分の意思で学校を休んだんだろ?

でもおかしいなぁ、キミの記憶は完璧に削除したと思ったんだけど。

まさか覚えてるなんて。」

笑顔を絶やさず微笑み続ける鎖葉斗。

対して、其れを酷く睨み続ける間口。

ドアの向こうの教室から、声は聞えずとも、険悪な雰囲気が流れる二人を生徒達は見ていた。

星野 皿は、本を読む手を止め、横目で二人を見ていた。

「ざけんなよ。昨日はよくも俺を殺してくれたな。」

「あれ? 自分が死んだのも覚えてるんだ?

じゃあ何で今こうして生きてるのかは知ってる?」

間口は鎖葉斗の問いかけに答えられず黙る。

「白江様が生き返らせてくれたんだよ。」

「美紗が……? 俺を? 冗談も対外にしろ……

あいつは俺の事を嫌ってんじゃねーか。」

「好きだよ白江様は。気づかないの?

何時も白江様は君を目で追っていた。」

間口は息を呑んだ。

美紗に嫌われたと思い込んでいたから。

「……俺はあいつの事を恐れた……

あいつの中に宿っている闇が見えた……

本当は……美紗のことは……」


キーンコーンカーンコーン


タイミングよくチャイムが鳴った。
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