銀鏡神話‐翡翠の羽根‐
「嘘……まさか美紗が……

早く気づくんだった……ああ……あたしは、なんてことを……」

真帆は頭を抱え込むと、体の力が一気に抜けたようで蹲ってしまった。

「夕方六時に世臨時計台に。」

間口と同様、真帆にメモを渡すと鎖葉斗は去って行った。






「やぁ、白江様。」

夕方五時。白江宅にやってきた鎖葉斗。

二階の美紗の部屋に窓から入ってくる。

「!!鎖葉斗君……」

「迎えに上がりました。」

美紗の手を取る鎖葉斗。

「どういう事……ちゃんと説明してよ!!昨日の事といい……」

鎖葉斗は美紗の言葉を無視し、ポケットからあのメモを出した。

「今日の夕方六時に世臨時計台で、全てを説明します。」

また窓から鎖葉斗は飛び降りると、あっという間に去って行った。

六時 世臨時計台

「!!間口……」

時計台にやって来た美紗。

一番乗りだったのは間口みたいで、二人きりになってしまった。

(早く来ないかな鎖葉斗君大体なんで間口?)

「おい。」

「え……」

沈黙が暫く流れたが、突然間口が美紗に声をかける。

美紗はあっけからんとした表情で間口を見た。

「昨日はありがとな。後さ、俺……」

間口が何か言いかけたときだった。


ガッ


「覚悟!!」

振り下ろされた木刀は、間一髪、間口の頬を掠めた。

懐から銃を出すと、間口は標的目掛けて放った。


バンッ


銃声が響く。

「……なんだ、間口か。」

木刀の持ち主は真田真帆。

「真帆……」

「美紗……」

訳の解らない美紗は真帆の顔をただただ見つめるだけ。
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