銀鏡神話‐翡翠の羽根‐
其れからまた沈黙が続く。

美紗は滅茶苦茶、居心地が悪く、俯き続けるだけだった。

間口も真帆も一緒みたいで、お互い背を向けケータイを弄くっていた。

「さぁ、此れで揃いましたね。」

最後にのこのことやって来たのは、白露鎖葉斗。

鎖葉斗は時計台の近くにある岩に腰掛けた。

「今から僕達が目指すのは異世界・鏡界(きょうかい)

此の世界の対となる鏡の世界だ。

目的はただ一つ、あちらの世界にいる支配者に此の白江様の能力を返還する事だ。」

鎖葉斗の言葉の意味が全く解らない美紗。

然し間口も真帆も解っているようで頷いて静かに訊いていた。

「あの……能力って……?」

「白江様が支配者のアンケートに答えて得た力だ。

あのサイトは代々次の支配者に相応しい者を見定める為に出来た。

アンケートで支配者に相応しい答えを出した者が

次の支配者の力を手に入れられる。」

やっと美紗は理解した。

そうか……あのアンケート……


“投稿ありがとうございました。白江 美紗さん。”


蘇ってくる二週間前のあの出来事……

あの日の出来事を思い出すだけで、美紗は頭が割れるほど痛くなる。

「白江様は支配者に適している。けど……いらないのでしょう、此の力。」

鎖葉斗の問いにすかさず頷く美紗。

「信じられないなぁ、今までの人は皆この能力を使いたい放題使っていたのに。

まぁ、みんな使えば使うほど大きくなる此の能力の重さに、
耐え切れなくて……死んでったけどね。」

鎖葉斗は何時でも笑ってる。

でも一番、心から笑うのは、残酷な話の時。
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