銀鏡神話‐翡翠の羽根‐
シャロンの主……赤月 万里だ。
『キャルナス、回復魔法じゃ間に合わない。
再生魔法を。
あたしは万里の所に行ってくる。
シャロンがやられたんだ。
きっと強いよ……』
まこは屋根と屋根を渡り合いながら、鏡界の天井……望郷に向かった。
キャルナスはやれやれ、と首を振りながら、シャロンの前足があった部分を掴んだ。
折れ曲がった骨が突き出ている。
『・蘇れ、白夜の魂よ。
天地の詩を捧げし千姫……
永久の宝石を継ぎし者が望む。
再生せよ……
ラージマ・リエルド・』
呪文の詠唱が終わると、シャロンの無くなった前足の辺りから樹木が生えてきた。
其の枝が水色の泡になり、少しずつ、傷を補い、泡が前足まで集まり、次第に足の形を象る。
あっという間に何も無かったシャロンの前足は、後ろ足と同じ状態になった。
『さて…… 私も向かいましょうか。』
シャロンを屋根の下に置くと、キャルナスは望郷へゆっくりと向かう。
・
・
・
・
・
・
『万里……』
独楽 裡音は相も変わらず、図書館の机で頬杖をつきながら、悩み考えていた。
其れは赤月 万里に自分の気持ちを伝えるかどうかだ。
さっき、キャルナスとまこに……
『気持ちを伝えて堂々と振られれば諦めがつくかな?
でも今までの関係が壊れたらやだしな……』
と、質問をぶつけたのだ。
結局、莫迦にされて終わってしまったが。
『よし、やっぱり万里に言うしかねーな。』
椅子から立ち上がった時だった。
悪夢のサイレンが鳴った。
“緊急連絡、緊急連絡。
侵入者が望郷に接近中。
支配下は直ちに、Bランク以下の任務は放棄し、爾来様への守りを固めなさい。
繰り返します。
緊急連絡、緊急連絡……”
侵入者か……
久しぶりだなそんな奴。
(まあ爾来がどうなろうと知らねーしな。
適当に行くか。)
独楽は上げかけていた腰を下ろした。
・
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『キャルナス、回復魔法じゃ間に合わない。
再生魔法を。
あたしは万里の所に行ってくる。
シャロンがやられたんだ。
きっと強いよ……』
まこは屋根と屋根を渡り合いながら、鏡界の天井……望郷に向かった。
キャルナスはやれやれ、と首を振りながら、シャロンの前足があった部分を掴んだ。
折れ曲がった骨が突き出ている。
『・蘇れ、白夜の魂よ。
天地の詩を捧げし千姫……
永久の宝石を継ぎし者が望む。
再生せよ……
ラージマ・リエルド・』
呪文の詠唱が終わると、シャロンの無くなった前足の辺りから樹木が生えてきた。
其の枝が水色の泡になり、少しずつ、傷を補い、泡が前足まで集まり、次第に足の形を象る。
あっという間に何も無かったシャロンの前足は、後ろ足と同じ状態になった。
『さて…… 私も向かいましょうか。』
シャロンを屋根の下に置くと、キャルナスは望郷へゆっくりと向かう。
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『万里……』
独楽 裡音は相も変わらず、図書館の机で頬杖をつきながら、悩み考えていた。
其れは赤月 万里に自分の気持ちを伝えるかどうかだ。
さっき、キャルナスとまこに……
『気持ちを伝えて堂々と振られれば諦めがつくかな?
でも今までの関係が壊れたらやだしな……』
と、質問をぶつけたのだ。
結局、莫迦にされて終わってしまったが。
『よし、やっぱり万里に言うしかねーな。』
椅子から立ち上がった時だった。
悪夢のサイレンが鳴った。
“緊急連絡、緊急連絡。
侵入者が望郷に接近中。
支配下は直ちに、Bランク以下の任務は放棄し、爾来様への守りを固めなさい。
繰り返します。
緊急連絡、緊急連絡……”
侵入者か……
久しぶりだなそんな奴。
(まあ爾来がどうなろうと知らねーしな。
適当に行くか。)
独楽は上げかけていた腰を下ろした。
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