銀鏡神話‐翡翠の羽根‐
一度深呼吸をするとまた説明を再開する鎖葉斗。

「そんな最中、一人の魔術師が呪文の詠唱というロックを作った。

呪文の詠唱は、まず呪文を教えてもらい、自分の魔力のレベルが、
一定値にたっしてなければいけません。

それから此の呪文の詠唱のおかげで知能の低い妖は、
超能力、今でいう魔法を使える者が少なくなった。

其の後は、人間界の皆様もご存知、
魔女、魔術師、召喚師等、が浸食していきましたとさ。

妖は今では希少価値です。」

的確に説明する鎖葉斗。

再度メモを取る美紗。

「解った、でもなんで間口にそんな能力が……」

「まだよくわからないけど、吾平君の力が本物なのは確かですよ。」

吾平君と鎖葉斗に呼ばれ、少し照れ気味に顔を赤らめ、また俯く間口。

美紗は学校の時とは大分様子が違う間口に、愕き、尊く思えた。

こんな素直な間口は始めてみたから。

「僕は魔法で吾平君の記憶の一部を削除した。

なのに彼は覚えていた。

其れは僕の魔法を彼の身体に流れる魔力が、
本能的に拒絶したからだと思うんだ。」

一段落あけると鎖葉斗は続けた。

「吾平君は孤児院暮らしみたいだね。

両親に一歳の頃捨てられた。

だから両親は覚えていないんでしょ?」

頷く間口、静かに話を聞く真帆。

美紗は、驚くしかなかった。

まさか、間口が孤児院暮らしだったとは……

付き合っていたのに何も知らなかった。

ううん、知ろうとしていなかった。
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