銀鏡神話‐翡翠の羽根‐
「どうぞー」

真帆にドアを開けてもらい、2階の真帆の部屋に入る。

シンプルな部屋で、薄いピンク色のカーテンに、水色のベッド。

青いちゃぶ台。

新品らしい勉強机。

その上に有るノートパソコン。

真帆はノートパソコンを起動させた。

着々と進んでいく時間。

後戻りができなくなっている事に、美紗は気づかなかった。

「えっと、『支配者』と」

moogleという検索サイトの記入欄に矢印を持っていき、手慣れた手つきで真帆は支配者と打つと、検索ボタンを押した。

真帆はどんどん目で追いつけない速さで後ろのページの方にめくっていく。

やっと指が止まったかと思うと、一番最後に出た『支配者の世界』というサイトをクリックした。

すると全体真っ暗の画面の真ん中に、

『支配者・アンケートに答えていただくともれなく幸せプレゼント』

と白い文字で書かれているだけ。

「これこれ!支配者ってサイトなんだけどね、
此のサイトのアンケートに答えて送るだけで、
幸せになれるんだって!」

表には出さなかったが、美紗はがっかりした。

何だ、幸せ……か。

美紗が望んでいる物は簡単な幸せじゃない。

あくまで“きっかけ”だ。

『幸せ』と『楽しい』は別物。

他の人はどう思うかは知らないが、美紗の中ではそうなっている。
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