銀鏡神話‐翡翠の羽根‐
まさかそこまで甘い現状じゃなかったとは……

少し絶望的な心境になる美紗。

「じゃ、じゃあ休養が終るまで待つのは?」

此の問いに答えたのは真帆。

「駄目なの……。其れまで待ってたら美紗はこの能力に押しつぶされ死んでしまう。」

美紗はもっと絶望的になった。

訊かなきゃ良かったと後悔する。

「先代の支配者たちは長年の修行を積み、
正式に支配者の能力の継承式をした者達ばかりだった。

でも白江は行き成り生身の身体に支配者の能力を押し付けられた。

身体が拒絶を起こし、能力を使わなくても時が経てば死んでしまうだろう。」

追い討ちをかけたのは間口。

死ぬ、この歳で死ぬなんて想像もしてなかった。

此れは一刻を争う問題だった。

「は、早く鏡界に行こう!」

美紗は立ち上がった。

「いやまだ無理。」

「ぇ。」

鎖葉斗の言葉に硬直してしまう美紗。

「鏡界への入り口の扉は、無数此の世界にある。

でもね、一番都合の良い入り口……虹の口はね、
四つの鍵を使わないと開かないんだ。

四つの鍵はそれぞれ最北端、最南端、最東端、最西端に眠ってるらしいからね。

だからまずはそれを探さないと。」

あっさりという鎖葉斗。

そんな……

「……あたしはどれくらいで死ぬ……?」

思い切って聞いてみた美紗。

鎖葉斗はまたあの残酷な笑みで答えた。
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