銀鏡神話‐翡翠の羽根‐
「知ってるよ、美紗を虐めてた女子グループの所行って、
大喧嘩になったこととか。」

「……なんでお前知ってんの?」

「……美紗のことはあたしなんだって知ってるの。
大事なたった一人の友達だから。」

真帆の言葉が彼には痛い程に降り注いだ。

美紗の事が真帆は本当に大事に思っているらしい。

自分が情けなかった。

彼女を想う気持ちは誰にも負けないと思ってた。

なんて愚かなんだろう。

「……この戦乱が終わったらオレは美紗にまた……」


ガタンッ


間口の声は線路の音にかき消されたが、真帆にはしっかりと聞こえていた。






一方美紗と鎖葉斗。

弁当について言い争っているめちるとキャルナス、
夢のお手洗いに行ってしまった間口と真帆。

話せるのは隣の鎖葉斗だけ。

だが話題が無く、ずっと沈黙だった。

何か言わねば、何か……

そして思い出したのが、何度か話に出て来た、№10 七瀬 香。

「えっと……七瀬 香さんはどんな人なの?」

其れだけ言い切ると、緊張して乾いた喉を潤すために、売店で買ったお茶を啜る。

「……香は武道と天力を合わせた天武という技を使うんだ。」

武道はまだ解るけど……天力?

さっぱり解らない。

「天力はですね」

またお約束の展開に、がっくりする美紗。

どうしようもない、ちっぽけな自分。

支配力なんか大層な物を持っている癖に、何も知らない。

「いやまずは種族から説明しておきましょうか。

此の世界は主に五つの世界からなっています。

人間の人間界。

天使の天界。

悪魔の悪界。

魔族の魔界。

で、支配者の支配界……別名・鏡界。」

美紗は『支配者チェックノート』にメモを取る。

「其々の世界には其々の其の地、特有の能力がある。

人間界には武力。

天界には天力。

悪界には悪力。

魔界には魔力。

支配界には支配力。」
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