銀鏡神話‐翡翠の羽根‐

草月の夜に鳴く。

‐蒼の鍵編‐前の巻

草月の夜に鳴く。


「吾平君は見ていて本当に面白いですね。

さっきまで白江様の肩に頭をおいて寝てたと思えば、
起きるやいなやまたお手洗いですか。」

鎖葉斗がため息をつく。

美紗は只今笑う。

今美紗達は新羅神社行きの電車に乗っている。

新羅神社にあるのは

“蒼の鍵”

鏡界への入り口は数多にある。

其の中でも最も鏡界に入ったことがバレにくい、
“虹の口”に入るには、四つの鍵が必要だ。

蒼の鍵

紅の鍵

黒の鍵

白の鍵

全て揃いし時、虹の口が開くらしい。

《終点、新羅神社》

アナウンスが聞こえる。

ついに新羅神社に着いたらしい。

「いきましょう。」

電車から降りて数分、神社らしきものが見えてきた。

「新羅神社の神主は境界の者です。

“支配人”と呼ばれる、次の支配者候補達です。」

そんな者達までいるのか。

でもだったらなんで前代の爾来は自分に能力を押しつけたんだ?

其の支配人に能力を譲ればいいじゃないか?

「駄目なんですよ。支配者継承の儀式は十年に一度の掟で。

まだ爾来が支配者になってから七年しか経っていない。

けど、後三年待っていたら、確実に爾来は支配者の能力に喰い尽くされてましたね。」
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