銀鏡神話‐翡翠の羽根‐
忍の瞳から一瞬だけ光が消えた。

そんな忍を見て、口を開く澄江。

「好きなだけ言えばいい、私は新羅の名にかけて支配者になる。

そうだ、此の世界中を掌一つで自由に動かす、支配者に!!」

笑いながら淡々と語ると、澄江は日本刀を忍に構えて目を見開く。

「豪火戦乱、渦巻け“凛千花”!!」

解放呪文とともに日本刀は形を変えて、忍を包み込む。

「驚いた忍、この技は選ばれし侍にしか使えない技。

刀の刃を花の様に空気中に撒き散らす!!

天才の名に浮かれていた霧草宴とは違う、努力の新羅の技!!」

澄江の周りの刃の吹雪。

しかし忍は笑った。

「天才が努力してないとでも思った?

椿は天才の名にすがり、落ちぶれたけど私は違う。

そんな技くらい、」


バンッ


「!!」

忍が言い放つと同時に、澄江が出した物と同じ、
刃吹雪が忍の周りに立ち込め、さっきまで忍を包み込んでいた刃を消し去る。

「一目見れば簡単に使えるの。」

「そんな……」

立ち尽くす澄江に、更に留めを刺すかの様に、
刃は龍の形へと変わり、上空に舞う。

「柒拾捌花 涙月」

そして龍は月と成り、辺りを照らす。

だが其の光は月光ではない、刃の光。
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