銀鏡神話‐翡翠の羽根‐
「誰!?」

美紗は身構える。

間口は何時でも攻撃出来る様に、指先に魔法の弾を矯める。

「初めまして白江 美紗様。No.9 出雲のウィオ・シェルダンです。」

赤と青のオッドアイの少年が美紗の前に跪く。

黒いマントに、長い赤いつけ爪。

頬に描かれたスペードマーク。

服は赤と黒のチェック服。

そう、その様はトランプのジョーカーの様。

「あなたは……敵? 味方……?」

鎖葉斗から護身用に貰ったサイバイバルナイフを

ポケットからこっそり出す美紗。

ウィオが襲い掛かってきてもいい様にと思っていた。

しかしだ、美紗の予想は大きくはずれることになる。

「すいません白江様、私は爾来様に仕える支配下。

よって、あなたの身柄を拘束しようと思います。」

ニマぁと笑うウィオ。

来る……誰しもがそう思ったはず。

『気炎万丈 ファイ・ズ・ガーゴイル』

魔法の詠唱をしたのはウィオじゃなかった。

嫌な“予感”が過ぎる。

『満城鬼神の弾 ドルヴィア』

間口はとっさに美紗を庇うと、魔法弾を声の方向へ撃つ。


バンッ
メキメキメキ


弾が撃たれた場所に竜巻ができる。

竜巻は見る見るうちに、社内を破壊する。
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