銀鏡神話‐翡翠の羽根‐
「場所を変えようか。」

ウィオと第三者は、満城鬼神と気炎万丈により崩壊寸前の社内から、一早く逃げ出した。

「は! こっちは鍵さえありゃいいん……」

勝利の笑みを浮かべようとした間口……

だが笑っていられなかった。

「蒼の鍵がねえ!!」

さっきまで握っていた筈の蒼の鍵が無い。

社内を探す……でも時間がない……

「ちっ……白江、お前は先行ってろ!オレは鍵を……」

自らの命より蒼の鍵を探すのを優先する間口。

だからと言い、さっさと『じゃあ頼むね。』と、
間口を置いて行ける美紗ではない。

「駄目だよ!鍵なんかより間口の方があたしは大事なの!

鍵が無くても大丈夫!もっと他の方法を探そう!」

美紗の言葉に頬を赤く染める間口。

けれど間口はまだ動こうとはしなかった。

「……俺はやっぱりのこ……」

言いかけた間口の頬を叩く美紗。

ただただ、何が起きたのか理解出来なくて間口は呆然と突っ立ってる。

「あたしは皆でまた笑って世臨街に帰りたいの。

間口が此処に残るんだったらあたしも残るから!」

涙目になった美紗。

そして間口は深く深く溜息をつくと、言った。

「しょうがねーな。

解った……じゃあさっさとこっから抜け出すぞ。」

美紗の左腕を掴むと、間口は右手から魔法弾を出す。

『勇往鬼神 ロウェーブ』

弾は外に撃ち放った。

と途端、美紗と間口はいつの間にか社前の森に立っていた。
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