銀鏡神話‐翡翠の羽根‐
「凄いな、魔法弾でも珍しい“内部からの破壊”。

経った数日間で其れを使いこなせる様に成ったお前には、魔王になる才能があるんだよ、吾平。」

声の持ち主はあまりにも意外な人物だった。

意外なんてものじゃない……想定外だ。

「なんでお前がこんな所にいんだよ!! 皿!!」

現れたのは星野 皿。

支配者の世界とは全く無関係な人物。

なのに何故、どうして此処に……?

「さぁネ!!」

機会音が雑じる声。

皿はどうなってしまったんだろう?

不安と困惑、間口に出来た僅かな隙を、ウィオは見逃さない。

「・力のある者が造りし世界に 力のない者は踏み入れられない・

踊り狂え! レトロ・ポップ・ドール!」

魔法の詠唱をするウィオ。

詠唱の直後、間口の右腕に異変が起きる。


バンッ


森に鳴り響いた銃の音。

撃ったのは間口 吾平。

撃たれたのは……

「なんで……?」

白江 美紗。

左肩を一発撃たれた様だ。

じわじわと、蝕むかのように、一秒一秒ずつ垂れていく血。

最愛の人から、ぽたり、ぽたりと流れる赤い液体を見て、間口は愕くしかなかった。

そうしたのは自分なのだから。

「違う!オレは……」

反論する間口。

「何を言っているんだ? 白江さんの肩を撃ったのはお前なんだよ! 吾平。」

追い詰めてくる皿。

仲の良い、一番の親友の二人、なのに今はお互いを追い詰めあう。

一体どうなってしまったんだろうか?
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