銀鏡神話‐翡翠の羽根‐
バー-ーーーン

バルブラ・サンドラが結界に弾かれるやいなや、其の威力を増して皿に向かいかかる。

決まったと思った。



「なっ……!」


ギシャッッ


皿の腕に一日千秋が当たる。

(支配者に使える奥義の一つ・白銀界。

此の界に触れた物、踏み入った物を、自分の力に変える技。)

ウィオは冷や汗を拭うと笑った。

然し其れは作り笑いだ。


「!!」

美紗と間口は驚愕した。

「はっ、笑えよ!俺は所詮人間じゃあなかったんだ。」

皿の雷が当たった腕の下から見えるのは血肉ではなかった。

機械類、なんだか訳の解らないコード、チップ、スイッチ。

色々な物が見える。

「俺だってつい数日前まで知らなかったよ。」



『星野 皿君。』

『……誰ですか?』

『ウィオ・シェルダン。異世界から来たから、
まだ此の世界についてはよく知らないんだ。』

『何を言っている?』

『此れからボクの話をよーく聞いてね。』



『……白江さんが支配者?

間口が妖? 真田さんが剣士? 支配下に神だと?

……僕が人間ではない? ごめんよ。

君の絵空事につき合ってられる程、暇ではないんだ。』

『まぁまぁ話は最後まで聞きなよ。

君さぁ、病気したことないでしょ。

で、怪我したところは中々治らないでしょ?』

『……だからどうした?』

『じっとしててよ。』


バンッ


『な、なにをする!? 拳銃だと!? なんなんだお前は!?』

『腕を見てみなよ。』

『!?』


「ショックだったよ、ウィオ様に穴を空けられた腕から見えたのは無数のコード。

病気にならないのは、人間じゃないから。

傷がなかなか治らないのは、人と違ってそういった機能にかけてるから。」

冷静に語る皿。

哀れな其の人に掛ける言葉は出て来なかった。

「だからって……なんでお前が俺達と戦う必要があるんだよ!?」

間口の問いに皿は涙しながら言った。

「お前には解らないだろう? 人じゃなかった此の気持ちが?

ウィオ様に教えてもらったんだよ“人になる方法”をね。」
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