銀鏡神話‐翡翠の羽根‐
そんな美紗を、真帆が狂ってるのは間口だ、と励ますのも日常茶万事。

「間口!」

担任に怒鳴られ大きく飛び上がる間口。

皆、間口を笑う。

美紗は間口からやっぱり目が離せない。

未練があるわけじゃない……はずなのに。

「じゃあ入れ。」

担任が廊下に向かって声を掛ける。

数秒、静まる教室。


ガラ


ドアが開く。

入ってきたのは小柄な男の子。

瞳は青く、髪は茶色。

世臨中学の赤いチェックのズボンと白いYシャツ、
青いネクタイの制服を着こなしている。

「白露 鎖葉斗(しらつゆ さばと)です。

沖縄から引越してきました。

都会のことは色々わからないので、教えてもらえればうれしいです。

ちなみに母がハーフなので、目がこんな色です。

宜しくお願いします。」

鎖葉斗は最後にニッコリと微笑み会釈をした。

その愛らしい姿にクラスのほとんどの女子は食い入っている。

間口はそんな鎖葉斗が気にいらないみたいだった。

ジーっと、女子達とは違う意味で食い入っている。

美紗は特に関心はなく、担任の後ろにある、給食の献立表を見る。

真帆はもっと関心がないみたいで、机の中でこそこそ携帯をいじくっていた。

「白露は、白つながりで、白江の隣な。」
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