銀鏡神話‐翡翠の羽根‐
‐蒼の鍵編‐後の巻
そして世界は闇夜と化す。


「美紗、俺、お前とやってく自信もうねえんだ、別れよう。」

「え……」

間口に放課後、体育館裏に呼び出され伝えられた言葉は其れだった。

「あたしのこと嫌い?」

「好き、スっゲー好き。でも俺はもう無理だわお前とは。」

涙する美紗、間口が大好きだった美紗は、
あまりにも突然の別れにショックが大きかった。

「なんで? あたしのどこが駄目だったの?」



「お前狂ってるから。」



時空が止まる。
美紗の精神は頑なに揺れて、黒ずんでく。

「そっか……バイバイっ」

走っていく美紗。

間口はただ後悔の中で一人ポツンと立っていた。

「な……んで……こんなことに……?」

美紗の問いに答える者は誰もいなかった。



間口 吾平。

一歳で両親から捨てられた天涯孤独のオレ。

適当に孤児院の先生がつけた名前。

間口……すぐ間に入ってきては口を開くから、間口。

吾平……先生が吾平町からの旅行の帰りに拾ったから。

なんだろうかこの適当な名前の付け方は。

そんな名付け親の先生ももう此の世にはいない。

俺の周りの大切な人たちは、みんな消えていく。

みんな、みんな。
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