銀鏡神話‐翡翠の羽根‐
「ただい……」

ドーン

「な、なんだよ!?」

孤児院に帰ってくるなり圧し掛かってきたのは、小学ニ年生の勝人(まさと)

「吾平お兄ちゃん、早く手洗って、晩御飯食べようよ!」

食欲旺盛の勝人はいっつもこうだから困る。

「今日の晩御飯にはエビフライが出るのよ!」

楽しそうに献立表を見せてくるのは、同じく小学2年生の蘭子(らこ)

「わあったよ。」

俺は自分の部屋に向かう。

「あいらおにいちゃんおかえりなさい。」

小さな手を振ってきたのは蘭子の妹の、鈴子(りこ)

今年で幼稚園卒業だ。

「ただいま。」

鈴子の頭を撫でると、鈴子は心配そうに言った。

「……おにいちゃん、ちゅーがっこうでいやなことあったの?」

「え」

「ないてるから。」

情けない事に、俺は停止してしまった。

「ははっ、やっぱり鈴子の目は誤魔化せねえなぁ……
お兄ちゃん大事なもの捨てちゃってさ……。」

俺はそう鈴子に言い残すと、自分の部屋に入り、ベッドに飛びついた。

翌日。

俺は教室に入る。

すると皆……特に女子たちの視線が物凄く痛かった。

やっぱり俺と美紗が別れたの知ってんだろうな。

「間口君、」

「あ?」

話かけてきたのは星野だった。

昨日忠告したのにコイツまだ赤髪だ。

「有難う昨日は。」

「ああ、感謝してんだったらその髪の色どーにかしろ、目障り。」

態と素っ気ない態度をとったけど、星野は超しつこかった。

「恩返しとかできないかな? 今度なんか奢ろうか?」

人懐っこい顔をしてくる、星野はこんな髪で浮いてなかったら人気者だろーな。

「じゃあナクドナルドのポテトでいいよ。」

奢ってくれるんだったら貰っといた方が得だって訳で、
ハンバーガー屋のポテトを奢って貰うことにした。

放課後。

駅前のナックに行く。

「あのさ、白江さんと昨日別れたの?」

いきなりズバッと聞いてくる。

こいつは天然なのか、腹黒なのかさっぱりわからない。
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