銀鏡神話‐翡翠の羽根‐
「ふふ、邪魔するなって言われるともっと邪魔したくなるなぁ。」

微笑む七瀬。

ウィオは歯を噛み締める。

「天武之五道
軌磐旅架(きばんりょっか)」

術名をか細い声で唱えると七瀬は光速で回転し、

間口に絡みつく白樺を斬り裂いてゆく。

「貴女が七瀬……さん……?」

七瀬は美紗の前に跪く。

「はい、No.10 明倫の七瀬 香です。

貴女を護り抜く事を誓います。」

「“五言絶句”
二言 石楠花」

七瀬に向かって、刃の様な無数の紅い華が襲いかかる。

「白江様、もう一枚、白銀界を。」

「白銀界……?」

「さっき出した、結界の様なものです。」

あれは白銀界というのか、美紗は強く念じる。


バンッ


石楠花が七瀬に当たる寸前で、密度が更に上がった白銀界が現れる。

支配者の能力の前に、石楠花は打ち返されて皿に向かう。

「二度同じミスはしない。」

皿はそれを交わし抜く。

「踊り狂え! レトロ・ポップ・ドール!!」

さっきとは違う最小限の詠唱をするのはウィオ。

同じ魔法の詠唱は、時間があまり経っていなければ、短い詠唱だけで済む。

「!!」

間口の左腕が異変を感じ出す。

銃を取り、美紗を撃とうとする。

「ウィオ、とことん馬鹿な子。

天武之三道

天冠智王(てんかんちのう)」

七瀬は術名を唱えると、間口の両腕を金属製グローブで思いっ切り殴る。

「いでぇぇぇえ!!」

両腕を掲げて間口は転げ回る。

「! 腕の感覚が戻った。」

「天武は回復・状態異常系の武術。

武術と共に、状態異常のオマケ付きもあれば、仲間を回復させたりも自由なの。

今のは腕により強い衝撃波を与えることによって、
操作魔法への免疫力を無理矢理上げた。」
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