銀鏡神話‐翡翠の羽根‐
難しい説明でチンプンカンプンだが、美紗は何とか其れを頭に叩き込んだ。

「さぁて間口、貴方はこんな白江様の白銀界に守って貰ってちゃ駄目だ。
友達を救えるのは貴方だけなんだよ。」

間口の背中を思いっ切り蹴り、白銀界から出す七瀬。

「……吾平、一対一だ。」

皿が間口を呼び寄せる。間口は浮かない表情で皿の方へ駆ける。

「・笑え屍、狂え屍、全ては大地から始まり、大地に終わる。
・シャドウ・ブラックドール!」

ウィオの詠唱により地面から出てきたのは、包帯を巻いたミイラ。

血まみれのミイラ男は、巨大な鎌を七瀬に振りかざす。

「此れで終わりだよっ!七瀬 香っ!」

勝ち誇った顔で笑うウィオ。

だからといって、七瀬は負けたとは思っていない。

逆だ。


「0,1、」
七瀬は鎌を0,の世界で交わす。

「0,2、」
ミイラ男の両腕を掴み、

「0,3、」
背負い投げる。


ゴゴゴッ


ミイラ男は地響きを上げながら地面に倒れ、

「0,4、」
ブラウンブーツの鋭い踵から仕込みナイフを出す。

「0,5、」
ナイフをミイラ男の心臓部に突き立て、一気に貫く。

「0,6、」
ミイラ男から遠ざかり、ウィオに向かう。

「0,7、」
ウィオの背後に回り込む。

「0,8、」
ブーツからもう一本のナイフを取り出す。

「0,9、」
ナイフをウィオの首でクロスさせる。

「1,0、Game Over?」
「そんなことが……あるわけがな……い……」

さっきの勝ち誇った顔から、恐怖と絶望の色に変わる。

「殺してもいいんだけどさ、流石に13歳の少年を殺す程、
残虐な人間じゃないんだな。

ってそもそも人じゃないけどさ。」
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