銀鏡神話‐翡翠の羽根‐
「畜生が! 話くらい聞け!!

いいのか? お前のあの日の事を、真田にでもばらすぞ!?」

「!!」

あの日の事。それはもう一年前の出来事。

美紗の人生を“つまらない”ものに変えた日。

「……や」

「は?」

「嫌ーーーーっっっ!!」


ガガガガガガガガガガ


美紗は目を瞑り、其の小さい躰からは発せられないくらい叫んだ。

美紗の叫びは静かな住宅街中に響き渡る。

途端に地響きが、美紗と共鳴するかの様に沸き起こった。

「!? また此の地割れか!?」

危険を察知した間口は、来た道を早々と後戻りする。



『落ち着いて。』

「誰!?」

『望め、キミが望めば世は滅ぶ。』

「消えて……消えて!」



美紗は間口が目の前から消えるよう望んだ。

其れから暫くして美紗は黄色い光に起こされた。

「やぁ、白江様。」

「!!白露君……」

現れたのは転校生の白露 鎖葉斗。

「安心して。此処は近所の公園だから。」

美紗は辺りを見渡した。

確かに其処は近所の公園だった。

「!!」

辺りを見渡し美紗は恐ろしい物に気づいた。

「ま、間口……」

鎖葉斗の後ろに俯せになって倒れている、ボロボロになった間口 吾平だった。

頭から血を流し、腕や首に傷を負っていた。

「あ、もう死んでるよ。」

「何で!?」

「だって白江様が消えてって望んだから。」
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