銀鏡神話‐翡翠の羽根‐
ガガーンっと、お決まりのオーバーアクションを取ると、キャルナスはババーンと倒れる。

そんな倒れたキャルナスの腹に曼陀羅は腰掛ける。

「やっぱりのぉ。白江様を守る!!とか、調子いい事抜かしといて、結局はこの様じゃ。

キャルナス、お主は昔からこうじゃ。

何事も中途半端に終わらせよって。

お主ほど中途半端に恵まれた、中途半端の才能の、中途半端な者はいない。」

中途半端だらけの曼陀羅の説教が終わった、と思ったら、
どこからか巨大なハリセンを出し、曼陀羅は構える。

そして曼陀羅が消えたと思ったら、いつの間にか駄菓子店の屋根に立っていた。

「ふう、誰かこの阿呆を運んでやってくれ。」

阿呆=キャルナスはいつの間にか腫れあがった顔をして、
瀕死状態に陥っていた。

「どどど、どうしたんですかキャルナスさん!?」

美紗が慌てて駆け寄り、キャルナスに肩をかす。

めちるも呆れながら、手助けをする。

「今の一瞬で、ハリセンでぶっ叩いた。」

呆れながらキャルナスを見るのは真帆。

超光速の曼陀羅。

また濃い人物が出てきたなぁ、とため息をつくのはやっぱり美紗。

「では皆の衆、上がれ。」

曼陀羅は屋根からヒョイっと、地に降り、駄菓子店に入っていく。

美紗たちもそれに続く。

『汝・我の間へ続く鍵を授けろ・汝・解き放て力を・汝・契約に従え』

曼陀羅は駄菓子店の茶の間の床に魔法陣を書き、そこに手をのせて唱えた。

魔法陣は浮き上がり、光る。

『バールト・マーリファ』


サーーーーーッッ


「!!」

気づくと美紗は道端に立っていた。

そう、此処は世臨街。

しいていうなら、あの世臨時計台前の街道。

でも、明らかに普通じゃない。

何故なら人一人見当たらないから。

辺りの民家は暗く、生気が無い。

何故行き成り此処に来てしまったのだろうか?

「無事着いたようじゃな白江殿。」

聞えたのは曼陀羅の声。

雲が渦巻く漆黒の空、雨がちらほら降る中、
曼陀羅の声も降って来る。

「なんなのここは……?」

美紗が問うと、空から笑い声が零れてくる。

「ふふ、記憶の世界‐メモリーワールド‐。」
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