銀鏡神話‐翡翠の羽根‐

*めちるの試練

アヤセ一族の柱になれ。

幼かった彼の日から、






『やぁ、どぅも。

早く傘に入って下さいな。

風邪ひきますよ。』

貴方が差し出したボロボロの傘は、
とても心地よかった。

『何で私を召喚なさったんですか?』

私の問いにあなたは悪戯気に笑った。

『そんなの私にもわかりません。』

“死神”の娘になった彼の場所。






雨が降る。

こっちの世界にも空はあって、雨も降る。

建物が沢山ある。

人がいっぱい。

でもね、こっちの世界には貴方が居るの。

キャルナス様、貴方は私の全てなのです。

貴方にとって私はただの厄介者かもしれませんが、
貴方は私の世界同然なんですよ。

「私の試練は、貴方の苦しみを取り除いてあげることです。」

私は過去のキャルナス様の前に立つと、
呪文を詠唱する。

『我に誓え、汝に願え。

宿命を解き放て。

永久よ、赦せ。

ラミレ・パディド!』

ラミレ・パディドは光り輝く赤い閃光を放ちながら、
キャルナス様を包み込む。

だが、次第にその光は漆黒のどす黒い色に変わっていく。

「あなたの苦しみはそんなにも深いものなの……!?」

精神魔法のラミレ・パディドは、
その光で包み込んだ相手の心を、徐々に浄化していく魔法。

だけど、逆にキャルナス様の心にラミレ・パディドが押されてる。






『何で此処から出してくれないの?』

此れは……
幼いキャルナス様?

『お前が危険だからだ。』

光の筋なんて全く無い、暗い、深い闇。

其の中にポツンとある牢。

其処に閉じ込められる少年がキャルナス様。

『嫌だ……

お家に帰りたい……ママ、パパ……』

泣くキャルナス様の髪を無理やり掴むと、
牢の兵士はキャルナス様に言った。

『一生お前はその中だよ。

パパもママも迎えに来ない。

なんたって、お前のパパとママがお前を牢に幽閉するよう頼んできたんだ。』
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