ダーク&ノイズ
「これは事件性が非常に高い。捜査に協力できないということでしたら、それなりの覚悟をしてもらうことになりますが」

校長は手のひらを返したように作り笑いを浮かべると、

「もちろん協力しますとも」

と言い、慌てて在籍名簿を持ってきた。



いったん町田夫妻を帰した進藤は、事件の成り行きを整理してみた。

(もしも、これが怪奇現象だとすると──)

最初に姿を消したのは山本希里だ。つづいて藤崎夏美。

(例えばこれが呪いだとしたら、呪ったのはいじめを受けた誰かということか)

そこまでは納得がいく。


しかし


(昨夜姿を消した三人は、いずれもいじめを受けていた側だ)


それと、山本希里らの事件に関連はあるのか?


(必ずある)


当然あるだろう。

(しかもこちらは、怪奇現象というより──)


そのなかで、ついさっき見たものの、すでに忘れようとしていた記事が脳裏をよぎる。


『この呪いって、呪った相手を殺すしか助かる方法がないんだって』


(まさか)


その呪いを解く方法というのを実行したものが居るとすれば──



(あとの四人の中の誰かだ)



しかし、それでも現実には信じられない。

まさか女子高生が、一夜に三件も殺人を犯すとは到底考えられなかった。

(だが、可能性がないわけじゃない)

進藤はこのとき、自分の勘を信じることにした。

再び携帯を取り出すと、川田へのリダイヤルを押した。

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