ダーク&ノイズ
「出ないの?」

立ちすくむ悠美の携帯を、のぞみが覗き込んだ。

「だって……」

真知子と表示されたディスプレイを見せられると、のぞみはそれをひったくった。

「まだ死んでるってきまったわけじゃないよ」

そして通話ボタンを押すと、そのまま耳にあてた。



「もしもし」



またもや沈黙だった。



「だれ?」


手に汗がにじんで、携帯電話にぬるりとした感触がひろがってゆく。




その沈黙を破ったのは笑い声だった。


(──!?)

スピーカーから聞こえてきたのは笑い声だ。

(真知子の声じゃない)

独特のハスキーな笑い方ではなかった。

得体の知れない怖さから、携帯を耳から離した。が、その笑い声は追いかけてくる。

あわててそのフリップを閉じた。


それでも、さげすむような笑い声は聞こえてくる。のぞみは携帯を取り落として耳をふさいだ。

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