ダーク&ノイズ
悠美と沙理奈が道の先を見ていた。

その視線の先から聞こえてくるような気がして、のぞみもふたりの目線を追った。

そこに、

(なんか……いる)

と気づいたとき、その笑い声が止んだ。




とつ、とつ……と、足音が聞こえる。




その姿が街灯に照らされ、かたちをなした。


「だれ?」


目を見開く三人の前に立ったのは、ニット帽を深く被った女だった。

わずかにのぞく顔は黒く変色し、唇は青くはれあがっている。

その無残な顔が、白い歯を見せた。


「もしかして……木下?」


沙理奈が覗き込むようにして、ようやくその名前を口にした。

「てめえ……」

とつぜん姿を現した裕子に、悠美の怒りがわきあがる。

しかし、それを制するように、裕子が冷たく言い放った。


「アンタら呪ったのは、そこの谷川だよ」


飛びかかろうと身構えていた悠美の体が硬直した。

< 121 / 250 >

この作品をシェア

pagetop