ダーク&ノイズ
(なんで──)


沙理奈とのぞみの突き刺さるような視線が、今度は悠美へと向けられる。

思考がとまった悠美をよそに、裕子は細長いものをとりだすと、それを三人の前に放り投げた。

「その金づち、呪いの木の下に落ちてたよ。谷川って、書いてあるよね?」


悠美は記憶をさかのぼらせた。

あの穴から逃げるとき、確かに懐中電灯しか持っていなかった。

「赤い人形さ、アンタの名前だけなかったんだけど」

その言葉に血の気が引いた。



裕子は沙理奈とのぞみに視線を合わせた。

「こいつがお前ら殺そうとしてんだよ」

「こいつ、なに言って──」

口をふさごうと突っかかった悠美の体が引き戻された。

思わず振り向いた悠美。

そこには、先ほどまでとは目の色を変えたふたりの顔があった。

「どういうことよ」

のぞみの重く冷えた声が、悠美の足をすくませる。

「どうって……」

< 122 / 250 >

この作品をシェア

pagetop