ダーク&ノイズ
言葉に詰まった悠美の姿を眺めながら、裕子は携帯電話をストラップからぶらさげて見せた。
「冬野もかわいそうに。あんな死にかただけはマジごめんって感じ」
その携帯は真知子のものだった。
「さっきのイタズラ、かなり笑えたんだけど」
「てめえが──」
悠美は毒つきながら、地面を蹴って飛び出した。とっさに身を引いた裕子だったが、身構える必要はなかった。
悠美は一瞥をくれただけで、手を出そうともせずに走りぬけたのだ。
その意図を素早く見抜いたのぞみと沙理奈は、同時に飛び出してあとを追う。
「悠美、待てよ!」
「てめえ、マジで呪ったのか!」
駆け出した悠美を罵声が追った。三人のけたたましい足音が遠ざかってゆく。
それを眺めた裕子はひとしきり笑うと、手に持っていた携帯電話を落とし、かわりに取り残されたピンクの携帯電話を拾い上げた。
そして、消え入るようにその場をあとにした。
コオーン……
闇夜にその音が響いている。
暗い山道のなかで、その音を耳にした人間がいた。
「冬野もかわいそうに。あんな死にかただけはマジごめんって感じ」
その携帯は真知子のものだった。
「さっきのイタズラ、かなり笑えたんだけど」
「てめえが──」
悠美は毒つきながら、地面を蹴って飛び出した。とっさに身を引いた裕子だったが、身構える必要はなかった。
悠美は一瞥をくれただけで、手を出そうともせずに走りぬけたのだ。
その意図を素早く見抜いたのぞみと沙理奈は、同時に飛び出してあとを追う。
「悠美、待てよ!」
「てめえ、マジで呪ったのか!」
駆け出した悠美を罵声が追った。三人のけたたましい足音が遠ざかってゆく。
それを眺めた裕子はひとしきり笑うと、手に持っていた携帯電話を落とし、かわりに取り残されたピンクの携帯電話を拾い上げた。
そして、消え入るようにその場をあとにした。
コオーン……
闇夜にその音が響いている。
暗い山道のなかで、その音を耳にした人間がいた。