ダーク&ノイズ
「川田さん、聞きました?」

「ああ、だが……」

水沢神社へ向かい、川田と進藤は、細い山道を登っていた。

現実にその呪いが行われているのか?

それを確認するためだ。

たとえ確認できたところで、打つ手があるかどうかは分からない。

ただ、素人なりに、打ちつけられたという人形を取り外せば、どうにかなるかも知れないと思い、釘を抜くための道具は持ってきていた。

その道すがら、突然山あいにその音が響いた。しかし自分たちに呪いがかかっているとは到底思えない。

「この話、もしかして広まってるんですかね?」

進藤のなかに、最悪のシナリオが浮かぶ。


人間は、誰からも恨まれずに生きてゆくことなどほとんど不可能と言っていい。

悪意には悪意を返される。さらに、誰にも悪意を持っていないとしても、多くの人に好かれれば、またそれをねたむ人間が出て、結局恨みを買う。


(もし、その恨みを確実に、かつ合法的に晴らす方法があると分かれば)


額に伝う汗が冷えていた。

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