ダーク&ノイズ
「川田さん、急ぎましょう」

「そのほうが良さそうだ」

ふたりの足取りがあわただしくなった。音がやむ気配がない。


しかしあまりに慌てていたのか、ふたりは神社への看板を見逃してしまっていた。

しばらく登ってから、川田が足を止めた。

「おい、音……また小さくなってないか?」

息を切らしながらそう言う言葉を受けて、進藤も耳を澄ます。

先ほどより、確かに小さくなっている。しかも、

「下から聞こえますよ」

それまで上から降ってくるように響いていた音が、いまは下から立ち上がってくるように聞こえている。

「しまった、通り過ぎたぞ」

分かれ道を見落としたことを悟ったふたりは、あわてて今来た道を引き返した。

その途中、釘を打つ音が消えた。

(また誰かを呪ったのか?)

釘を打つ音はかなり長い時間聞こえていた。ということは、かなりの人数を呪ったのではないかと想像できる。

(人の命をなんだと思ってるんだ)

おそらく犯人は、いま山道をくだっているだろう。進藤はまず、その人間を捕まえる考えを川田に告げた。

川田も同じ考えだったようだ。神社への分かれ道にさしかかると、

「お前は下へ行け。まだ神社にいるかもしれん、俺はそっちを捜す」

と言って、自分は道を曲がった。

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