ダーク&ノイズ
「おはよ」

一番遅く教室に入ってきた悠美は、賑わっていた空気が一瞬冷めたような違和感に首を傾げた。

いつもは響くように返ってくる声がない。

「あ、おはよ」

やや遅れてそれは聞こえてきた。


その間が違和感の原因だと知ると、何か落ち着かないものを感じてその輪に混じった。

「なになに? 何の話してたの」

何気なく発したその言葉だったが、返ってきた返事は疑問を大きくさせるものだった。

「なんでもないよ。適当に話してただけ」

希里の取り繕うような口調が悠美を不安にさせる。


(なんで半笑いなのよ)


軽くあしらわれたような気がして、悠美は不快感を顔に出した。


「ホントだって、ねえ」

真知子が念を押すと、周りが一斉に頷く。


(嘘だ──)

悠美はそれを見て、嘘だと確信した。


「だって、なんか盛り上がってたみたい──」

なぜ自分がそれほど動揺するのか、悠美には分かっている。

その不安を払拭しようと続けた言葉は、教室に入ってきた教師の出現によって遮られた。


一斉に席に戻る生徒らに取り残された悠美は、教師に言われて渋々自分の席に着いた。

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