ダーク&ノイズ
「だってさ、呪った奴が死ねば呪いが解けるんでしょ? だったら悠美が死んだんならさ、あたしたち助かるじゃん」

「そっか……」

そこに思い至ると、不謹慎とは分かっていながら、頬が緩んだ。

(助かる)

生への魅力が、友人の死を忘れさせたといってもよい。

しばしその喜びに胸がふるえるのを抑えきれないでいた。


「警察に報せる?」

沙理奈は他人事のようにそう言った。

正直のぞみももう警察沙汰は面倒だと思っている。

黙っていたが、沙理奈がその気持ちを代弁した。

「悠美はあたしらを殺そうとしてたんだからね、天罰だよ。あたしは警察でまたウダウダ言われたくないんだけど」

「そうだね」

「ねえ、これで解決したんだからさ、カラオケでも行かない?」

「そんな気分にはなれないよ」

「こんな気分の時だからこそ行きたいの。なんかさ、もう忘れたいの。もうウンザリなの!」

辛い思いをしたのは分かりすぎるほどわかる。

のぞみは沙理奈の弱い心をいたわって、無理やり笑顔を作った。

「いいよ、行こう」

要するにふたりきりの場所が欲しいのだ。


のぞみは沙理奈の手をひいて、その場をあとにした。
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