ダーク&ノイズ
「あれ、飛ばないんだけど」

ようやく唄う曲を決めた沙理奈が、曲を画面に送信しながら首を捻った。

「え、電池とか切れてんじゃないの?」

「マジで?」

リモコンを振ってみるふたりの前のテレビモニターが、ざらりと揺れた。

はっと顔をあげたのぞみの前で、流行歌手の顔が歪み、ノイズが画面を覆う。そして画面から音が消えた。


日常が非日常に変わる瞬間。


ふたりは鋭敏にそれを感じ取っていた。



「ウソでしょ」


沙理奈の手からリモコンが離れ、床に落ちた。


「悠美は死んだのに」


のぞみの頭は混乱した。助かると思っていた矢先にまたもや──




コオーン……



部屋を照らしていたイルミネーションが色を失ってゆく。


「いい加減にしてよ!」


のぞみは絶叫して頭を抱えた。

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