ダーク&ノイズ
闇に包まれてゆくなかで、のぞみの目にはテレビモニターに映った砂嵐だけが鮮明に見えている。

その砂嵐がじわじわと動き始めた。

(なに、これ?)

今まで何ひとつ見えたことはない。それが、今回に限って見えるものがあることが、恐怖を増大させた。

(もしかして──)

今度こそ自分の番が回ってきたのかも知れない。

そう考えたとたん、のぞみは画面からとびのくようにあとじさった。テーブルの脚に引っかかって、体が冷たい床に投げ出される。

振り向いたのぞみの目に、砂嵐が渦をまくモニターが冷たく光っていた。


ノイズが渦に引き込まれて、中心に黒い穴ができていた。その穴がじわじわと拡がりをみせている。


のぞみは目をこすった。


遠近感がなくなっているのか、その渦がモニターに映っているだけにも関わらず、目の前に迫ってきているように感じる。

< 136 / 250 >

この作品をシェア

pagetop