ダーク&ノイズ
冷たい土の上に寝転がっているようだ。


湿った感触とともに、体中が痛みを感じている。

悠美はその状況を理解できなかった。



突然頭に鋭い痛みを感じて、あごが上を向いた。目の前にいるのは思いがけない人物だった。


(あたし?)


まさかという思いでその顔を凝視した悠美は、

「なんだよ、その目は!」

と、もうひとりの悠美に罵声を浴びせられた。

つぎの瞬間、目の前に黒いローファーが飛んできて、顔に熱をともなった鈍い痛みが走る。

顔を蹴られたと理解した悠美は、閉じたまぶたの中に、火花が散るのを感じた。


もうひとりの自分だけではない。希里や夏美、真知子、のぞみ、沙理奈もいる。

「どういうこと……」

小さく呟いた悠美のわき腹が、続いて飛んできた靴先でえぐられた。

呼吸が止まり、鈍い痛みにもがく。

「どういうことって、お前が悪いからだろうが」

頭上の悠美がさらに頭を踏みつけてきた。

(違う、そうじゃなくて)
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