ダーク&ノイズ
(連れて行かれる!)


もがく悠美の顔が、再び水面に出る。


「助けて、お凛が──ガボ」


助けを求める悠美を見ても、娘らは腕を組んで笑うことをやめない。

「お凛に殺される!」

必死の訴えは、かえって笑いにかき消された。

「なに言ってんだよ。お凛はあんたじゃないか」

娘のひとりが、頭を指差してくるくると回した。


(そんな──)


足がひときわ強い力で引っ張られると、悠美の視界は泡に包まれた。

体に伝わる水圧が、水底へ引きずられる速度を物語っている。


(死にたくない!)



悠美は虚しく水をつかみ、やがて意識は深淵に沈んでいった。

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