ダーク&ノイズ
「ちょっと、困ります!」

病室に看護師の声が響いた。

悠美の寝ているベッドの脇に、佐々木の姿がある。その佐々木を守るように、琢己と恭一が看護師をさえぎった。

「すいません、悠美の命に関わるんです」

必死さを見せて琢己は訴えたが、看護師は首をたてにはふらない。

「患者さんはもう呼吸も安定してますし、脳にも傷害は出ていません。あとは意識が戻るのを待つだけなんです。命の心配って──ちょっと、なにしてるんですか!」

佐々木が50センチはあろうかという長く、太い線香を三本とりだすと、それに火をつけ始めた。

「ここは病室ですよ!」

むしろ看護師の声のほうが迷惑だろうと思いながら、琢己と恭一は、その看護師をふせいだ。

「何なんですか、ちょっと、先生! 誰かきて」

看護師は廊下にわめき声をまきちらしながらドアから姿を消した。

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