ダーク&ノイズ
「やばい、どうする?」
後ろで祝詞をあげる佐々木をちらりと見て、琢己は恭一に言った。
「どうもこうもないだろう。あの人がいま除霊をするってことは、それだけ危険が迫ってるってことだ」
「じゃあ……」
ふたりがスライドドアの取っ手を押さえるのと、外から強い力が加わるのは同時だった。
「何してるんだ、開けなさい!」
男性医師が激しくドアを叩いた。
「あれって、どのくらい時間かかるんだ?」
もうすぐ警備員も駆けつけるだろう。琢己はその不安を恭一にもらした。
「さあね。すぐに終わるときもあれば、一日かかるときもあるみたいだな」
「そんなにはもたねえよ」
「じゃあお前も祈ってろ」
佐々木は邪気をはらうように、煙で悠美の体を包んだ。
その線香を左手にまとめると、右手の人差し指と中指をさし伸ばし、それを悠美の体に向ける。
「……廣修萬劫、證吾神通、三界内外、惟道獨尊、體有金光、覆映吾身、視之不見、聴之不聞……」
ドアを押さえながら、琢己はその耳慣れない呪文をいぶかしく思っていた。
「あんな呪文聞いたことないぞ。ふつう、臨兵闘とかさ、南妙法蓮とか、そんなんじゃねえの?」
「そんなものが日本に伝わる前の秘法だよ」
後ろで祝詞をあげる佐々木をちらりと見て、琢己は恭一に言った。
「どうもこうもないだろう。あの人がいま除霊をするってことは、それだけ危険が迫ってるってことだ」
「じゃあ……」
ふたりがスライドドアの取っ手を押さえるのと、外から強い力が加わるのは同時だった。
「何してるんだ、開けなさい!」
男性医師が激しくドアを叩いた。
「あれって、どのくらい時間かかるんだ?」
もうすぐ警備員も駆けつけるだろう。琢己はその不安を恭一にもらした。
「さあね。すぐに終わるときもあれば、一日かかるときもあるみたいだな」
「そんなにはもたねえよ」
「じゃあお前も祈ってろ」
佐々木は邪気をはらうように、煙で悠美の体を包んだ。
その線香を左手にまとめると、右手の人差し指と中指をさし伸ばし、それを悠美の体に向ける。
「……廣修萬劫、證吾神通、三界内外、惟道獨尊、體有金光、覆映吾身、視之不見、聴之不聞……」
ドアを押さえながら、琢己はその耳慣れない呪文をいぶかしく思っていた。
「あんな呪文聞いたことないぞ。ふつう、臨兵闘とかさ、南妙法蓮とか、そんなんじゃねえの?」
「そんなものが日本に伝わる前の秘法だよ」