ダーク&ノイズ
ずっと憎悪に満ちた目にさらされてきたような気がする。しかし、いま悠美の目には、あたたかいまなざしだけがあった。

琢己の目から涙のしずくが落ちて、それは悠美の頬を濡らした。


それが恐怖に萎縮していた心を解き放ったのだろう。悠美はとつぜん湧きあがった感情を喉からもらし、目からは涙があふれた。

「ごめんなさい……あたしが悪かったの」

何もかもを、自分が引き起こしてしまったという罪悪感。

その罪悪感から琢己を突き放してしまったこと。

本当は怖くてたまらなかったこと。


そして、友人を失くしてしまったこと──



それらの胸を満たしていた感情が、嗚咽とともに吐き出された。


震える肩を抱いて、琢己は悠美をあたたかく包んだ、


「大丈夫、もう心配ないから」


しかし、そう言ってなだめようとする頭上から、佐々木の冷たい言葉が突きつけられる。

「一時的にしのいだだけだ。まだ助かると決まったわけじゃない」



(こんな時に言わなくても……)

琢己がしぶい顔を見せると、悠美も泣き顔をやめて表情を硬くした。

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