ダーク&ノイズ
「おい、大丈夫か」

つぎの瞬間、まさに絶叫が宇野の鼓膜を襲った。

思わず耳をふさいだ宇野の前で、沙理奈は気が狂ったかのように怯えて叫んでいる。

(これが例のやつか!)

「大丈夫だ、俺がいる。大丈夫だから落ちつけ!」

そう言ってすくみきった体を抱きしめたが、沙理奈が落ちつく様子はまったく無い。

(いったい、どうなってるんだ!)

宇野は混乱しながら、自分の頭脳につばを吐いた。




その頃、高校の教室では凄惨にすぎる事件が起きていた。

生徒どうしが険悪ににらみ合うなか、とつぜん奇声が教室を満たした。


奇声を発した生徒はひとりやふたりではない。呪いを受けたと抗議をしていた生徒ら全員が発したものだ。


担任が姿を消している教室は混乱をきわめた。

さすがにこの騒ぎにしびれを切らしたのか、隣のクラスの女性教師が怒鳴り込んできた。

「あなたたち、何して──」


その教師の目に映ったものは、


「いやだ、死にたくない!」


血を吐くように命乞いをする生徒の姿。



(なに……これ)

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