ダーク&ノイズ
ブラウスが真っ赤に染まっている。首や腕にも赤い筋がいくつも走っていた。

「何してるんだ!」

さすがに平泉も足を速めた。つづいて数人の生徒が飛び出すと、血にまみれた生徒に群がった。

もみ合う中に、大きな裁ちバサミが振り上げられるのが目に入る。

「やめんかー!」

平泉が叫ぶと同時に、そのハサミが振り下ろされた。


数人が返り血を浴びて目をそむける。

彼女らの顔と白い壁が、血しぶきに染まった。

(なんてことを……)


平泉は足をすくませて、その場に膝をついた。

「死んだ?」
「死んだでしょ、たぶん」
「つぎ、行くよ」

息の絶えた生徒をうち捨てると、その生徒らは再び教室に入っていく。

たちまち絶叫がこだまする教室。


すると今度は、他の生徒らが教室内からどっと吐き出された。

凶器をかざした生徒がすぐに後を追う。まさに無差別殺人が堂々と行われていた。

「警察を、警察を呼んでください!」

平泉は腰が抜けて動けない。背後の女性教師にそれを告げるのが精一杯だった。



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