ダーク&ノイズ
同時刻、悠美のいる病室。
佐々木が施した符は絶大な威力を発揮はしたが、それでも完全に防ぐことはできなかった。
「この呪禁をやぶるほどとは……」
自らの法力をつかって呪祖を防いだ佐々木は、その呪力の大きさに眉をひそめた。
ベッドの上で荒い息をしている悠美は、しかし、この嫌味な霊能者にはじめて絶大な信頼をよせた。
「ありがとうございます」
「君のためだけではない。礼はいらない」
が、佐々木に寛容な優しさは、やはりない。
「とにかく体調を早くととのえてくれ。でないと封じることが難しい」
「あの……」
そこで琢己が遠慮がちに聞いた。
「どうして悠美も一緒に行かないといけないんですか?」
それは水沢神社へ、ということだ。
「以前あそこは、当時の高名な霊能者によって封じられたと聞いている。呪いを行っても、霊がそう簡単にこたえることはない。しかし、彼女はそれをたやすく成し遂げてしまった。それどころか、霊の暴走を引き起こしている」
佐々木は悠美を見据えていった。
「何らかの理由があるはずだ。それをつきとめなければ、霊を鎮めるのは難しい」
反呪ということであれば事は簡単に済む、とも言った。
しかしもはや、悠美ひとりを助ければよいという事態ではなくなっている。
(それにしても手が込んでいる)
佐々木はこの呪いに乗じて、反呪法を流布した人間の悪意を感じていた。
佐々木が施した符は絶大な威力を発揮はしたが、それでも完全に防ぐことはできなかった。
「この呪禁をやぶるほどとは……」
自らの法力をつかって呪祖を防いだ佐々木は、その呪力の大きさに眉をひそめた。
ベッドの上で荒い息をしている悠美は、しかし、この嫌味な霊能者にはじめて絶大な信頼をよせた。
「ありがとうございます」
「君のためだけではない。礼はいらない」
が、佐々木に寛容な優しさは、やはりない。
「とにかく体調を早くととのえてくれ。でないと封じることが難しい」
「あの……」
そこで琢己が遠慮がちに聞いた。
「どうして悠美も一緒に行かないといけないんですか?」
それは水沢神社へ、ということだ。
「以前あそこは、当時の高名な霊能者によって封じられたと聞いている。呪いを行っても、霊がそう簡単にこたえることはない。しかし、彼女はそれをたやすく成し遂げてしまった。それどころか、霊の暴走を引き起こしている」
佐々木は悠美を見据えていった。
「何らかの理由があるはずだ。それをつきとめなければ、霊を鎮めるのは難しい」
反呪ということであれば事は簡単に済む、とも言った。
しかしもはや、悠美ひとりを助ければよいという事態ではなくなっている。
(それにしても手が込んでいる)
佐々木はこの呪いに乗じて、反呪法を流布した人間の悪意を感じていた。