ダーク&ノイズ
前代未聞、白昼の集団殺人劇。

それが女子高で行われたことに価値がある。このスクープ映像がどれほどの価値を持つことになるのか、星野自身でさえ想像すらつかない。

そこにサイレンの音が聞こえてきた。

(くそ、早えよ)

正直に言えばそうなるが、もちろんそれをそのまま報道するわけにはいかない。

「よかった、警察がいま来ました。いま警察が到着しました!」

レポーターも、本音とは裏腹に、警察の到着によろこびの声をあげた。


次々と校門を潜ってゆくパトカーの中に、宇野の姿があった。校門の前に報道車がいることに苦い表情を浮かべる。

「くそ、まずいことになった」

殺人現場を撮られようがそれは構わない。が、その原因を無責任に報道されると、最悪の事態が起きかねないのだ。

せめて行方不明になっている冬野真知子を保護し、事件の全貌が解明されるまで待って欲しい、というのが本音だった。


(その冬野も生きているのか……)


機動隊の到着を待つわけにはいかなかった。

所轄の手を離れると、事件は解決のめどを立てられなくなるかもしれない。

「全員、暴行を行っている生徒を迅速に取り押さえろ。わが身をかえりみるなよ!」

パトカーから飛び出した署員ら数十人は、正面玄関から突撃した。

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