ダーク&ノイズ
先日、ほとんど髪の毛を焼かれ、血と砂に塗れた顔で泣き喚いていた裕子の姿と自分が重なる。その姿に背筋を寒くした。
「じゃあね」
教室を出て行く一行を見送ると、置き去りにされた悠美の足が、根を張ったようにすくんでいた。
誤解であれば良い。
しかしそれを確かめなければ、今夜から眠れない日が続くだろう。
そう思った悠美は、小さく震える足を床から引き剥がすようにして前に出し、こっそりと仲間たちの後をつけていった。
しかし、一行の向かった先はいつものショッピングモール。
特に誰かと待ち合わせをするわけでもなく、何を買うこともなくウィンドウショッピングを延々と続けた。
それを影から覗いていた悠美は、暗鬱な気分で家路についた。
朝を迎えると、夏休みはあと十日余りに迫っていた。
心浮かれる生徒らの中にあって、悠美の足取りはことさら重い。
昨夜はろくに寝ていなかった。
胸を押しつぶされそうな不安の中、明日は自分の居場所があるのだろうかという恐怖に怯えていたせいだ。
そしてその予感はある意味的中した。
「ねえ、希里たちは?」
教室がやけにこざっぱりした印象を受ける。それはいつもの連中がこぞって居ないせいだった。
ほっとしたような、それでいて不安がさらに大きくなったような複雑な心境で、悠美は近くの生徒に聞いた。
「え、見てないけど……休みじゃないの?」
「揃って?」
「つかさ、悠美こそ知らないって──」
「じゃあね」
教室を出て行く一行を見送ると、置き去りにされた悠美の足が、根を張ったようにすくんでいた。
誤解であれば良い。
しかしそれを確かめなければ、今夜から眠れない日が続くだろう。
そう思った悠美は、小さく震える足を床から引き剥がすようにして前に出し、こっそりと仲間たちの後をつけていった。
しかし、一行の向かった先はいつものショッピングモール。
特に誰かと待ち合わせをするわけでもなく、何を買うこともなくウィンドウショッピングを延々と続けた。
それを影から覗いていた悠美は、暗鬱な気分で家路についた。
朝を迎えると、夏休みはあと十日余りに迫っていた。
心浮かれる生徒らの中にあって、悠美の足取りはことさら重い。
昨夜はろくに寝ていなかった。
胸を押しつぶされそうな不安の中、明日は自分の居場所があるのだろうかという恐怖に怯えていたせいだ。
そしてその予感はある意味的中した。
「ねえ、希里たちは?」
教室がやけにこざっぱりした印象を受ける。それはいつもの連中がこぞって居ないせいだった。
ほっとしたような、それでいて不安がさらに大きくなったような複雑な心境で、悠美は近くの生徒に聞いた。
「え、見てないけど……休みじゃないの?」
「揃って?」
「つかさ、悠美こそ知らないって──」