ダーク&ノイズ
「ちょ、ちょっと待て。それはどういうことだ」

『次からつぎに登ってくるんですよ、若い連中だけじゃないです。社会人もいますけどね、それが、ここの事がインターネットで話題になってるらしいんですよ』

「おい、それじゃ、お前たちが到着する前にも誰か来てた可能性があるってことか」

『来てたもなにも、新しい藁人形だけでも300体は超えてますよ!』

「さ……」


宇野はその数を聞いて絶句した。


「それで、川田と進藤は」

『残念ですが、ここには姿が見当たりません。動こうにも、これだけの人間が押しかけてきてたら、私たちにはどうにも』



報告を終えた福田の目の前には、またもや新たな侵入者の姿が映っていた。横井がうんざりした顔で、声をかけている。

(どうなってんだ、コイツらの頭は)

殺人を犯そうとしている顔には見えない。

だが、殺そうとしているのは事実だ。

「警察がなんの権利があって邪魔してるんですか」

無線を切った福田の後ろから、横井を罵る声が聞こえていた。

その声を発しているのは普通の大学生ほどの男だったが、四人連れだ。揃ってメガネをかけている。

次から次に姿をあらわす侵入者たちの中には、こういった連中が増えてきた。

「あのですね、我々の行動のどこが刑法に触れるというんですか」

「公共物破損になるの。君たちまた藁人形を打ちつけるつもりでしょ」

「釘を打つだけじゃないですか。そのくらいで小さなこと言わないでくださいよ」


その言い訳にイラついた福田が、一喝をくだした。


「刑法に触れるとかどうとか、お前たちがガタガタ言うな!」


いきなり現れた年配の警官の怒声に、四人はおもわず首をすくめた。

「何をしようとしてるのか、自分の胸に手をあてて考えて見ろ」

どうにもやりきれない怒りが、ここに来てから胸にわいている。

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