ダーク&ノイズ
「大丈夫ですよ。呪いなんてあるはずないでしょう」

横井は挑戦するような目を四人に投げかけていたが、その視線を受けた四人はひるむどころか、含み笑いを浮かべながらその名前を携帯電話に記録していた。

(危険だ)

福田は、晴れた夏の日差しのなかで、冷たい汗が背中につたうのを感じている。


「とにかく、お前らここから立ち去れ」


この場所から早く離さなければ、どんでもないことになるかも知れない。

強引に四人を境内から押し出す福田の耳に、下の遊歩道からの騒ぎが聞こえてきた。

「横井、ここにいろ」

福田はそう言い残すと、四人を引き連れて下への道を降りた。

「お前、俺を呪う気だろ!」
「そういうお前はどうなんだ」
「その人形みせてみろ!」
「お前こそ見せろよ」

同じ高校の制服を着た男子生徒同士が争っている。どうやらここでかち合ったらしい。

「無茶苦茶だな」

こんな混乱している現場に、二人しか警官がいないことが非常識だ。

大きく息を吸い込むと、またもや声を張り上げた。


「お前ら、なんでそんなに簡単に人を殺そうとするんだ!」


福田ですら、理性が限界に達しようとしている。


怒りを少年らにぶつけると、肩で息をしながらつばを吐いた。

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